ふたりだけの世界で、本物の愛を。
足を引きずるように歩いても、どこでだってわたしはじろじろと見られる存在になることは変わらなかった。
「あぁ、来た来た。あの人だよ」
「えっ、そうなの!?」
「あの見た目なら、なんだかありそうだよね……」
どこを歩いても、同じ言われよう。
「そ……んな……。嘘……」
わたしの口が必死に動こうとしても、かすれた声しか出てこず、誰の耳にも届かなかった。
遊ぶだとか、騙すだとか。
翔ちゃんは、決してそんな人じゃない。
翔ちゃんは勉強もできるし、優しいし、わたしが知る限り、一度もどこでだって問題を起こさなかった。
確かに、わたしだって高校生が5歳も年上の人と付き合ったなんていうケースは、マンガくらいでしか聞いたことがない。
それに、わたしが騙されやすそうであるということ。基本、わたしは怒るということを滅多にしなくて、学校内で誰かに怒ったこともない。
そんな気が弱くて、髪の毛も別に巻いたりすることもしないし、メイクだってあまりしない、そんな地味な見た目をしている。