繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
「奈江ちゃん、どんな選択をしても、自分の選んだ道に自信を持ってね」
「え?」
康代へ顔を向けると同時に、奈江の手は彼女の両手に優しく包み込まれていた。
「奈江ちゃんは最悪のことを考えたいのよね? 私もそういうタイプだからわかる。ほかの人は可能性が1%しかないことに悩むなって言うかもしれないけど、その限りなく少ない可能性を考えたいのよね?」
「……そうだと思う」
どうして康代にはわかってしまうのだろう。戸惑いながら、奈江はうなずく。
「でもね、奈江ちゃん。もしね、もしも、結婚したとしてよ? 結婚することで、あなたは結婚しなかったときに得られたはずのお相手の明るい未来をつぶしたって思い悩む日が来るかもしれない。でもね、どんな道を選んでも苦労のない未来なんてないんだから、結婚はまた別の明るい未来を開くきっかけになったって考えたらいいんじゃない?」
「また別の未来?」
秋也が描く未来はどんな未来だろう。
結婚したいって言われたわけじゃないけれど、そんな未来を思い描くこともあるだろうか。ないならいい。だけど、そうなる可能性が1%でもあるなら、その日が来るときが怖いから、奈江は悩んでいる。付き合うことすら、しない方がいいって、心のどこかで思ってる。
その気持ちをほぐすように、康代は優しく言い続ける。
「今ある状況の中で、どれだけ幸せになる努力ができるか、それを考えたらいいのよ。そういうことを一緒に考えられるお相手なら、お付き合いを前向きに考えてもいいんじゃないかしら」
「え?」
康代へ顔を向けると同時に、奈江の手は彼女の両手に優しく包み込まれていた。
「奈江ちゃんは最悪のことを考えたいのよね? 私もそういうタイプだからわかる。ほかの人は可能性が1%しかないことに悩むなって言うかもしれないけど、その限りなく少ない可能性を考えたいのよね?」
「……そうだと思う」
どうして康代にはわかってしまうのだろう。戸惑いながら、奈江はうなずく。
「でもね、奈江ちゃん。もしね、もしも、結婚したとしてよ? 結婚することで、あなたは結婚しなかったときに得られたはずのお相手の明るい未来をつぶしたって思い悩む日が来るかもしれない。でもね、どんな道を選んでも苦労のない未来なんてないんだから、結婚はまた別の明るい未来を開くきっかけになったって考えたらいいんじゃない?」
「また別の未来?」
秋也が描く未来はどんな未来だろう。
結婚したいって言われたわけじゃないけれど、そんな未来を思い描くこともあるだろうか。ないならいい。だけど、そうなる可能性が1%でもあるなら、その日が来るときが怖いから、奈江は悩んでいる。付き合うことすら、しない方がいいって、心のどこかで思ってる。
その気持ちをほぐすように、康代は優しく言い続ける。
「今ある状況の中で、どれだけ幸せになる努力ができるか、それを考えたらいいのよ。そういうことを一緒に考えられるお相手なら、お付き合いを前向きに考えてもいいんじゃないかしら」