繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
そう言って、本屋のロゴの入った袋を秋也は持ち上げてみせる。彼も本を購入したようだ。
「アールヌーボーに興味あるの?」
奈江の持つ本を見て、秋也は不思議そうに言う。
「あ、これは……ちょっと勉強してみようと思って」
あわてて抱きかかえるが、アールヌーボー芸術、と大きく書かれた文字は隠しきれない。
「それ、入門書としてはいい本だよね。アールヌーボーを代表する作家とその作品がよくわかると思うよ。俺も持ってる」
「猪川さんも?」
「それ関連の本なら、らんぷやにたくさんあるから、休みの日にでも見に来る? 絶版になってる本もあるしね」
「絶版って、貴重な本ですよね。見せてもらえるんですか?」
「俺の本だから、遠慮なく」
秋也はにこやかにそう言うと、ひょいと奈江の顔をのぞき込む。
「どうして勉強なんて?」
ダークブラウンの前髪の奥で、いたずらっぽく笑う目にどきっとして、奈江は目を泳がせる。
もちろん、秋也の好きなものに触れてみたくて、とは言えなくて、「興味があると、勉強してみたくなるタイプなんです」とごまかすと、急いでレジへと向かった。
「アールヌーボーに興味あるの?」
奈江の持つ本を見て、秋也は不思議そうに言う。
「あ、これは……ちょっと勉強してみようと思って」
あわてて抱きかかえるが、アールヌーボー芸術、と大きく書かれた文字は隠しきれない。
「それ、入門書としてはいい本だよね。アールヌーボーを代表する作家とその作品がよくわかると思うよ。俺も持ってる」
「猪川さんも?」
「それ関連の本なら、らんぷやにたくさんあるから、休みの日にでも見に来る? 絶版になってる本もあるしね」
「絶版って、貴重な本ですよね。見せてもらえるんですか?」
「俺の本だから、遠慮なく」
秋也はにこやかにそう言うと、ひょいと奈江の顔をのぞき込む。
「どうして勉強なんて?」
ダークブラウンの前髪の奥で、いたずらっぽく笑う目にどきっとして、奈江は目を泳がせる。
もちろん、秋也の好きなものに触れてみたくて、とは言えなくて、「興味があると、勉強してみたくなるタイプなんです」とごまかすと、急いでレジへと向かった。