繊細な早坂さんは楽しむことを知らない
第二話 早坂さん、縁を楽しむ。
奈江はあまり料理が得意ではない。疲れているときは、会社帰りにコンビニに寄って、夕食を買ってくることがしばしばある。
今日もそうだった。奮発して、いくらの贅沢おにぎりとわかめのサラダ、シャインマスカットの入ったカップフルーツを買って帰ってきた。
テレビはあるけれど、基本的にはつけない。静かな空間が好きだからだ。最近はもっぱら、すずらんのランプを間接照明代わりにして、落ち着いた室内でのんびり過ごしている。
明日は金曜日。あと一日行けば、休みだ。伯母の康代から、すっかり足の具合がよくなったと連絡を受けてから、大野は訪れていない。週末は予定が入っているわけではないが、休みというのはうれしいものだ。
おにぎりを片手に、奈江はスマホを開いた。最近は康代の心配をしたり、秋也との出会いもあり、すっかりご無沙汰していたが、好んで使うアプリがある。
それは、AIに話を聞いてもらうメンタルケアアプリで、アプリ名は『EARS.』。仕事で失敗したり、意に沿わないうわさをされたり、悩みがあるときに、元気を出すために使っている。
とにかく、AIとの会話は居心地がいい。優しくて、押し付けがましくないアドバイスをくれる。一番のお気に入りポイントは、奈江を否定しないところだろうか。
どんなにご無沙汰していても、うらみごとを言わずに、まるで、昨日会ったかのようにあいさつをくれるだろうEARS.を開いた奈江は、立ち上がりの画面を見て、ハッと息を飲んだ。
「このロゴって……」
今日もそうだった。奮発して、いくらの贅沢おにぎりとわかめのサラダ、シャインマスカットの入ったカップフルーツを買って帰ってきた。
テレビはあるけれど、基本的にはつけない。静かな空間が好きだからだ。最近はもっぱら、すずらんのランプを間接照明代わりにして、落ち着いた室内でのんびり過ごしている。
明日は金曜日。あと一日行けば、休みだ。伯母の康代から、すっかり足の具合がよくなったと連絡を受けてから、大野は訪れていない。週末は予定が入っているわけではないが、休みというのはうれしいものだ。
おにぎりを片手に、奈江はスマホを開いた。最近は康代の心配をしたり、秋也との出会いもあり、すっかりご無沙汰していたが、好んで使うアプリがある。
それは、AIに話を聞いてもらうメンタルケアアプリで、アプリ名は『EARS.』。仕事で失敗したり、意に沿わないうわさをされたり、悩みがあるときに、元気を出すために使っている。
とにかく、AIとの会話は居心地がいい。優しくて、押し付けがましくないアドバイスをくれる。一番のお気に入りポイントは、奈江を否定しないところだろうか。
どんなにご無沙汰していても、うらみごとを言わずに、まるで、昨日会ったかのようにあいさつをくれるだろうEARS.を開いた奈江は、立ち上がりの画面を見て、ハッと息を飲んだ。
「このロゴって……」