鳴り響く秋の音と終わらない春の恋
*
靴を脱ぎ、家に上がるとリビングへと通された。
ねねちゃんは元気づけるように言った。
「お母さんに事情を説明してくるから、ちょっと待ってて」
「うん」
「ああ。ありがとうな」
葬式に参列している私とねねちゃんにとって、はるくんの死は否応なしに受け入れざるを得ないものだった。
だけど、春陽くんと一緒にいると、はるくんが亡くなったという過去が信じられなくなってくる。
その気持ちはねねちゃんも同じなのだろう。
私と春陽くんを見て、懐かしそうにはにかんでいた。
リビングの中心には、木製のテーブルが置かれている。
隣にはテレビが置かれ、窓からは住宅街の見慣れた景色が見えた。
テーブルには人数分の紅茶が並べられており、中央には三段重ねのスタンドが置かれ、スイーツが載っていた。
椅子に座ってしばらく待っていると、事情を聞いたねねちゃんのお母さんがやってくる。
「娘から事情は聞きました。『共依存病』について、占ってほしいんですね」
「はい。春陽くんの時間を取り戻す方法のヒントを見つけたいんです」
私は改めて、ねねちゃんのお母さんにここに来た理由を打ち明けた。
「それにしても、寧々から聞いてはいたけど……不思議な光景だわ。本当に『はるひくん』は『はるくん』ではないのね」
「はい」
ねねちゃんのお母さんの再度の確認に、春陽くんは深く頷いた。
ねねちゃんのお母さんは何度もはるくんに会ったことがある。
だから、どこまでが信憑性のある話なのか、判断がつかなかったのだろう。
「「どうかお願いします!」」
私と春陽くんは必死に懇願する。
『共依存病』の進行。
そして、はるくんに酷似した春陽くんの存在。
どちらも突拍子のない話である。
にわかには信じ難いものがあるが、それでも春陽くんたちの今後のためにも信じてもらわなくてはならなかった。
「分かりました。では、少々、お気を楽にしてください」
ねねちゃんのお母さんは口上を述べて、水晶玉に両手を添える。
やがて、その中に映し出された映像や幻影を感じ取ったようだった。
「出ました」
「どうですか?」
私はねねちゃんのお母さんに神妙な面持ちで尋ねる。
「この方は……。この結果はきっと必然なのかもしれませんね。『共依存病』の研究に取り組んでいる研究者の一人である、桐島教授に会えば、おのずと答えは導かれるでしょう」
その占い結果に反応したのは、私とねねちゃんだ。