鳴り響く秋の音と終わらない春の恋
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私たちは手がかりを求めて、まずはねねちゃんの部屋で中学の頃のアルバムを見ることにした。
そこにあったのは、中学に入学してから死ぬまでのはるくんとの思い出達。
「中学の時のことなのに、随分懐かしい気がするね」
「本当だね」
私とねねちゃんはアルバムをめくりながら、ぽつりとつぶやく。
以前も目にした想い出の写真達。全部、覚えている。
これは体育祭のクラス対抗リレーで、アンカーのはるくんが一位を取った時。
はるくんは運動神経がいい。
入学した頃はいろんな運動部から引っ張りだこだったらしい。
こちらは文化祭の出し物で、クラスのみんなと一緒に演劇をした時の。
社会科見学で行った映像ミュージアムは盛り上がって楽しかった。
全ての写真に共通しているのは、はるくんの弾ける笑顔。
見ている私たちの方が楽しくなってくる。
「うわっ、ほんとに俺にそっくりな奴が写っているー」
アルバムの中には、春陽くんが知らないはるくんの人生が詰まっていた。
春陽くんは自分にそっくりなはるくんの存在に驚きを隠せないようで目を丸くしている。
「あ……この人だよ。はるくんのお母さん」
ぱらぱらとアルバムをめくっていた私の手が止まる。
元気溌剌なはるくんの隣には、穏やかで優しげな瞳の女性が寄り添っている。
はるくんのお母さんだ。
はるくんの家は母子家庭で、はるくんが物心つく前に両親は離婚したって聞いた。
「この人が……」
私の隣で、春陽くんが食い入るように写真を見つめている。
「はるくんのお母さん。今頃、どうしているのかな……」
ねねちゃんはアルバムから写真を出して、ぎゅっと胸に抱く。
はるくんのお母さんの手がかりが、その写真に刻まれていることを祈って。
「ねえ、春陽くん」
「ん……?」
ねねちゃんは写真に目を落としながら、春陽くんに問いかけてきた。
「『はるくん』って呼んでもいい?」
唐突な質問。だけど、それは問いかけではなかったみたい。
「その、わたしが春陽くんのこと、はるくんって呼びたいんだ……」
春陽くんが応える前に、ねねちゃんは続ける。
「ごめんね。勝手なことばっかり言って。それでもわたし、どうしてもあなたとはるくんを重ねて見てしまうんだ……」
そんな彼女の気持ちに、私は少しだけシンパシーを感じる。
私も同じだ。
どこか似ている雰囲気を感じていた。
だから、春陽くんを初めて見た時から少しずつ惹かれていた。
私たちはきっと、春陽くんにはるくんの面影を重ねてしまっている。