鳴り響く秋の音と終わらない春の恋
はるくんを事故で亡くした後、私は心に深い傷を負い、無気力になり、抜け殻のようだった。
中学校には行かず、ずっと塞ぎ込んでいた。
はるくんがいたはずの空間に身を置くのは苦痛だったから。
学校に通えなくなってしまった私を、お父さんとお母さんはずっと心配していた。
高校入試の時以外は、家に引きこもる毎日。
それでも高校に入学してからは、私はようやく普通に学校に通えるようになった。
はるくんが死んだことを認めたくなくて……自己防衛のように、はるくんと過ごした記憶に蓋をしていたから。
意図的にはるくんのことを忘れていたから。
でも、秋斗くんと春陽くんと出会って、ねねちゃんと再会して、私は改めて、はるくんと向き合うことができた。
その事実は私の心の隙間を埋めるように、希望の光を灯した。
「雫は、はるくんが亡くなってからはずっと塞ぎ込んでいた。私たちは、そんな雫のことが心配で心配で仕方なかった」
「でも、高校に入学してからは毎日が楽しそうだったわ。それはきっと、秋斗くんと春陽くんと出会ったからなのね」
「……うん」
それでもお父さんとお母さんは、私の心がまだ、癒えていないことは知っている。
だからこそ、お父さんは真剣な眼差しで切り出した。
「分かった。おまえの思うように生きなさい。でも、困ったことがあったら、すぐに相談するんだぞ」
「お父さんとお母さんは、これから何があっても雫の味方だからね」
「ありがとう。お父さん、お母さん」
そう笑って、私はお母さんの胸に飛び込んだ。
「なあ、雫。今度、都合がいい時、家に連れてきてくれないか? はるくんの兄弟に会ってみたいんだ」
「うん。でも、春陽くんは本当に、はるくんそのままだからきっと、びっくりすると思う」
「そうか。楽しみだな」
お父さんもそう言って、そっと私をお母さんごと優しく抱きしめてくれた。