望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
その次はもっと長く、美紅を抱き寄せる史輝の腕にも力が籠められる。

美紅の頭の中は真っ白で、ただ史輝への愛しさだけに占められていた。



船で過ごした時間は、夫婦の距離がぐっと近づくものになった。

迎えの車に乗り込む頃には、史輝は当然のように美紅の肩を抱き、美紅も史輝に体を預けていた。

京極家の館に戻りそれぞれの部屋に入るとき、史輝が美紅の身も元で囁いた。

「あとで部屋に行く」

甘いその声に、美紅はふらふらと倒れ込みそうになりながら、自分の部屋に入ったのだった。

浴室で念入りに体お清めて史輝の訪れを待った。

初夜のときのようにガウンを着ておくべきか、それとも普段のナイトウエアでいいのか。迷った末にゆったりしたナイトウエアにした。

ガウンでは意識し過ぎているのがばれてしまいそうな気がしたから。でもやっぱりガウンにした方がよかったのかと、些細なことで悩んでしまう。

今夜美紅の部屋に来るということは、史輝は初夜のやり直しをするつもりなのだろう。

(どうしよう……緊張して倒れそう)

まだ史輝が来ていないというのに、心臓がドキドキ煩く波打っている。
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