望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
どうしようもなくと決めているけれど、美紅は頷いた。

「よかった」

史輝はそう言うと、顔を傾けて美紅に口づける。

船上よりも少し長く、顔を離してもすぐに角度を変えながら。

何度も繰り返している内に、強く抱きしめられていた。

ぴたりと密着してお互いの熱を感じ合いながら唇を重ねる。

うっとりとするような時間が続き、彼を求める気持ちが強くなっていく。

史輝の大きな手が美紅の耳から首筋に触れたとき、反応して声を上げそうになった。

その瞬間、彼の舌が美紅の唇を推し割るように入ってきたて、美紅は驚いて目を見開いた。

けれど口内を刺激されるとすぐに目を開けていられなくなる。

「んんっ!」

これまでのキスとはまるで違った濃厚さに、頭の芯から溶けてしまいそうになる。

史輝の舌が慄く美紅の舌を捕獲するように絡めてきた。

ぞくりとする刺激が前進に巡り、体から力が抜けていった。

(もう……どうかしてしまいそう)

史輝に身体を委ねながらも敏感に反応してしまっていたが、夢中なひとときは史輝が離れたことで突然終わった。

閉じていた目を開けたのと同時に、体を抱き上げられる。

「あ、史輝くん……」

「ベッドに行こう」
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