望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「……はい」

史輝に横抱きにされたまま寝室に向かいベッドに優しく降ろされる。

同時に彼が覆いかぶさり、口づけが再開した。

「あ……んん……」

静かな寝室に熱気が籠りはじめる。

史輝と手を繋ぎ合わせながら、何度もキスを交わしていると、もう彼のことしか考えられなくなっていた。

不安も緊張もなにもない。ただ彼に抱いて貰いたいと思う。

するりとナイトウエアが脱がされ、素肌が空気に触れる。
体中火照っているせいか空気がひんやりと感じたが、史輝の舌がなぞると、たちまち体中が熱くなった。

「美紅、目を開けて」

史輝に言われて、閉じていた目を開けると、ガウンをはだけた彼が美紅を見下ろしていた。

切れ長の怜悧な目に、男の欲が宿っている。

何の経験もない美紅でも、彼が自分を求めているのだと分かる。

「史輝くん……好きです」
「美紅」

史輝が大きく目を見開く。

「船の上で……愛してるって言ってくれたのに、返事が出来なかったから。すごく嬉しかったです。私もずっと史輝が好きでした」

ようやく言えたと、喜びが胸に広がる。

しかし史輝は切な気な表情を浮かべた。
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