望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「辛い環境から助けられなかった俺を想っていてくれてありがとう。二度と悲しい想いはさせないから。美紅は俺が必ず守る」

史輝の表情も声も真摯で、心からの言葉だと伝わってくる。

「……うん」

嬉しくて、史輝の首に腕を伸ばし抱き着いた。

「愛してる」

史輝が逞しい腕で抱きしめ返してくれるのを幸せに感じながら、美紅は目を閉じた。



初デートの日以来、史輝の美紅の関係は激変した。

ぎこちなさはもうどこにもない。

史輝は相変わらず仕事が忙しく家にいる時間はあまり多くないけれど、夫婦の時間をとても大切にしてくれる。

食事は可能な限り一緒に取るようにしているし、二日に一度はベッドを共にする。

なによりも、大切に美紅への愛情表現を隠さなくなった。

それは本家で働く使用人たちも驚く程で、美紅は明日香に度々揶揄われてしまう程だった。

「美紅、行ってくる。今日は少し遅くなりそうだ。食事も外で済ませてくるから」

史輝は出勤する前にしっかり予定を告げるようになった。

帰りが遅いなど気を揉む必要がなくなるし、なんでも話してくれているようで嬉しくなる。

「分かりました。気を付けて行ってらっしゃい」
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