望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
覚悟をして談話室に入ると、まだ時間前だというのに招待客は皆揃っていた。

美紅を認めないと言いながらも、本家の招集には従うようだ。

「お待たせいたしました」

美紅はそう声をかけながら、部屋の奥の上座に向かう。

途中で驚愕する百合華の顔が視界に入った。けれど気付かないふりをして、全員に対して声をかける。

「お集りいただきありがとうございます。私からはとくにご報告することはないため、今日は皆様とゆっくりお話しができたらと思います。様々なお料理を用意しましたので、どうかお楽しみください」

話しながら部屋全体に視線を巡らせる。

意外にほとんどの人が、美紅の言葉に耳を傾けている様子だった。

美紅の席は上座で部屋の入り口から見て最奥にある。

同じテーブルには五十代半ばと思われる品のある女性と、四十代くらいの落ち着いた雰囲気の女性。それからまだ十代後半思われる若い女性だった。

笛吹家の人とは別のテーブルだ。おそらく席を決めた川田が気を遣ってくれたのだろう。

(同じ席の人はみんなおっとりした雰囲気だし、話しやすそう)

ほっとしながら、事前に確認しておいた彼女たちの情報を思い浮かべる。
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