望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
(たしか分家の前田夫人とその娘さん、もうひとりは高梨さんだったかな)

「美紅さん、本日はお招きいただきありがとうございます」

同テーブルの女性たちが、笑顔で話しかけてくれた。

伯母のように目立つタイプではないが、優しそうな雰囲気にほっとする。

「素敵なインテリアですね。お披露目のときとは変わりましたよね? これは美紅様が?」

「はい。お部屋の飾りつけは私の役割だと聞きましたので、自分なりに整えてみました」

これまでは本家に夫人がいなかったため、川田が義父や史輝の意向を確認して代理で行ってくれていたそうで、重厚感のある雰囲気になっていた。

美紅は悩んだ末に、夏らしい爽やかさを意識して部屋をつくった。

ファブリックは明るい色にして、白とブルーと薄紫の花でシンプルに飾り付けた。

もちろん前任の川田や明日香にもアドバイスをもらったけれど、初めてにしては上手く出来たと思う。

「素敵だと思います。清涼感がありますし、若々しさも感じますわ」

目が肥えた分家の夫人にも気に入って貰えたようでよかった。もちろんお世辞かもしれないとは分かっているけれど、それでも嬉しい。

「本家での暮らしは慣れましたか?」
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