望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~

「それなら、どうして私たちに挨拶しなかったのよ!」

「声はかけました。でも百合華さんは私と話したくないようでしたので」

「はあ? 私が悪いって言いたいの? やっぱり調子に乗ってるじゃない。史輝さんに少し優しくされたからって、いい気になってるんじゃないわよ。あんたなんてどうせすぐに離婚されるんだから!」

「離婚? それはどういう意味ですか?」

冗談でも言わないで欲しい。そんな思いからつい眉をひそめてしまったのが気に障ったのか、百合華がますます激高する。

「あんたに本家夫人なんて務まる訳がないってみんな言ってるわ! 近い内にお母様が伯父様を説得するつもりだそうだから。そうなったらあんたもお終いね」

百合華は一気にまくし立てるとにやりと意地わるく笑う。

「伯父様……史輝くんのお父様のことですよね?」

「そうよ。お母様は本家出身だから、何でも頼みを聞いて貰えるのよ。一応理由は必要だから美紅が失敗するのを待っていたんだけど、大分積み重なったみたいだし、反対するのに十分になったから」

「積み重なった?」

「いろいろしでかしてるんでしょう? 教えてくれる人がいるのよ」

やはり本家内に伯母と百合華に情報を流している人物がいるようだ。
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