望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
百合華が美紅と同じ立場になることはないだろうが、それでもプライドが許さないはず。

それ程史輝が出した罰はきついもので、美紅は内心驚いていた。

史輝は伯父と令華の美紅に対する仕打ちについては怒っていたけれど、百合華について言及したことはなかった。

ふたりが会話をするところを何度か見かけたが、仲がよい従兄妹といった様子で、史輝は甘える百合華を容認しているようにすら見えた。

それなのに、こんなに強く断罪するとは。

「待って! どうか考え直してください」

泣き始めた百合華を、史輝はうんざりしたように突き放す。

「誰か、百合華を送ってくれ」

使用人に無理やり百合華を連れて行かせると、史輝は美紅に目を向けた。

「美紅、大丈夫か?」

「はい。史輝くんが来てくれたから平気です。でもどうしてここに?」

百合華同様、美紅も朝見送ったはずの彼の登場に驚いていた。

「予定がキャンセルになって時間が空いたから美紅の顔を見に寄ったんだ」

「もしかして、心配して来てくれたの?」

今日交流会があることは史輝も知っていた。
< 119 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop