望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
美紅が笛吹家に引き取られたとき、当然百合華もまだ子供だった。

従兄妹関係とは言え、それまで全く交流がなかったから、百合華にとって美紅は他人同然だろう。

それなのに家族になったといきなり同居が始まった。

快く受け入れる人もいるだろうが、百合華はそうではなく不満を持った。

当時の美紅は泣いてばかりいたから、そういううじうじした性格が気に入らないというのもあるかもしれない

「子供の頃ならまだ分かるが、未だに美紅に怒りを向けているのは、他に原因があるからだろう……おそらく叔母から美紅を嫌うように誘導されているのだろうな」

 史輝が憂鬱そうに言う。

「え? 史輝くんは百合華さんが私を嫌うのは、令華伯母様のせいだと思ってるの?」

「ああ……美紅が新しい生活に慣れて落ち着いたら話すつもりだったが、叔母が美紅に辛く当たるのは、彼女なりの理由があるんだ」

「私が私生児だってこと以外に理由があるの?」

「そうだ。美紅にはなんの瑕疵もない。そして叔母が憎んでいるのは美紅だけではなく、俺の母と、おそらく俺にも怒りを持っている」

「史輝くんにまで? 一体どうして……」

 史輝は美紅と違って、血が繋がった甥なのに。
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