望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
(お義父様との関係が上手くいっていないのかな)

 京極家に移り住んでからは美紅自身に余裕がなかったこともあって、周囲に気を配れていなかった。

(自分のことばかり考えてないで、しっかりしなくちゃ)

 そのためにはもっと強くならなくては。

 現在はっきりしているのは、令華は美紅を憎んでいるが、その原因は美紅にはないから、どう頑張っても関係が改善することはないということ。

 百合華は令華の影響を受けているのと、史輝と結婚したことで美紅を恨んでいると考えられる。

 令華は京極一族の中で強い力を持っていて、最高権力者の義父にすら影響力がある。

 史輝と義父の関係は、良好とは言えないように見える。

 つまり史輝も安全な立場にあるという訳ではないということだ。

(史輝くんに頼ってばかりじゃ駄目だ。私がしっかりしなくては)

 誰に何と言われても史輝と別れるつもりはない。

 きっと彼も同じように想ってくれている。

「史輝くん、私、もっと頑張ります。令華伯母様と百合華さんに何を言われても負けないように」

 美紅の宣言に、史輝は驚いたように目を瞠る。

 それから嬉しそうに微笑んだ。

「頼もしいな。でも無理はするなよ。俺がいることを忘れないで」

 史輝が囁きながら美紅を抱き寄せる。

「はい……」

 温かな腕の中で、美紅はゆっくり目を閉じた。
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