望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「私は大丈夫。だから安心して仕事を頑張ってね」

「いや、大丈夫と言われると心配で仕事が手につかない。俺がベストを尽くせるように、美紅は絶対に遠慮しないで何でも話すと約束してくれ」

「うん……約束する。いつも気にかけてくれてありがとう」

 夫の思い遣りが嬉しくて、美紅は史輝に体を寄せた。

 すると史輝が美紅の肩を抱き寄せながら、悩まし気な声を出す。

「しばらく美紅に触れられないんだな」

「……寂しいと思ってくれてる?」

 そうだったら嬉しいなと思いながら問うと、史輝は「当然だ」と言いながら美紅を抱きしめキスをした。

「今夜は朝まで一緒に過ごそうか」

 甘い誘いに、胸がときめく。

「でも明日も仕事でしょう?」

「大丈夫。美紅を抱いた方が元気が出るから」

 恥ずかしくなることをさらりと言い、様になるのが史輝だ。

 彼は照れる美紅を抱き上げて、長い足を進めてベッドに向かう。

 そっと下ろされ、組み敷かれると、ますます鼓動が早くなる。

 史輝が顔を寄せてキスをする。彼は手を突き、美紅に自分の体重がかからないようにしてくれているが、今はその気遣いがもどかしかった。

 彼の首の後ろに手を回し、ぐっと引き寄せる。するとお互いの胸が隙間なく重なった。
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