望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「実は史輝くんが伊勢の別荘を手放すと聞いたんだが」
「はい」
美紅は警戒しながら頷いた。
伊勢にある別荘は、史輝の祖母が購入し史輝が相続したものだが、一度も訪れることがなかったそうだ。
優美で立派なお屋敷だそうで、建物自体の価値も高いが、今回手放すことにした。
その売買に美紅は関わっていないけれど、史輝から話だけは聞いている。
と言うより、元々史輝は美紅に別荘を贈るつもりでいたらしい。
でも美紅が受け取っても手に余り困ってしまうため、有効に利用してくれる人に売ろうという話になったのが売却に至った経緯だ。
「その別荘、我々に譲ってくれないか?」
「……笛吹家として購入したいのでしたら、夫と直接交渉して貰えますか? 私には何の権限もないので」
思いがけない申し出に、美紅は戸惑いながら答えた。
「それは分かっているが、お前は史輝くんの妻なのだから口添えくらいできるだろう。私はお前の親代わりなのだから、それを考慮した上で譲ってもらいたい」
(安く売れってことかな?)
美紅に里帰りを促したのは、そのためなのだろうか。
そうは言っても、美紅の口添えが、役に立つとは思えない。
黙っていると令華が不機嫌そうな声を出した。
「はい」
美紅は警戒しながら頷いた。
伊勢にある別荘は、史輝の祖母が購入し史輝が相続したものだが、一度も訪れることがなかったそうだ。
優美で立派なお屋敷だそうで、建物自体の価値も高いが、今回手放すことにした。
その売買に美紅は関わっていないけれど、史輝から話だけは聞いている。
と言うより、元々史輝は美紅に別荘を贈るつもりでいたらしい。
でも美紅が受け取っても手に余り困ってしまうため、有効に利用してくれる人に売ろうという話になったのが売却に至った経緯だ。
「その別荘、我々に譲ってくれないか?」
「……笛吹家として購入したいのでしたら、夫と直接交渉して貰えますか? 私には何の権限もないので」
思いがけない申し出に、美紅は戸惑いながら答えた。
「それは分かっているが、お前は史輝くんの妻なのだから口添えくらいできるだろう。私はお前の親代わりなのだから、それを考慮した上で譲ってもらいたい」
(安く売れってことかな?)
美紅に里帰りを促したのは、そのためなのだろうか。
そうは言っても、美紅の口添えが、役に立つとは思えない。
黙っていると令華が不機嫌そうな声を出した。