望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「命令されていたのかは分からない。私が見た限りでは百合華さんに対して遠慮している様子は一切なかったから」

「そうなると親しい関係? 調べてみた方がいいですね。なんにしろ美紅さんを陥れようとしたのだから、史輝さんが制裁しますよ。帰ったらすぐに報告しましょう」

「でも、史輝くんに話すのが怖い……きっと呆れられるよね。こんなことになるなら、初めから全部話しておけばよかった」

 彼に失望されるのが怖くて、隠し事をしてしまった。悪気はなかったけれど、この状況では信じてもらえなくてもおかしくない。

「史輝さんは怒るでしょうが、それは百合華様にだと思いますよ。心配なのは分かりますけど、今話さなかったらどんどん事態が悪化します」

「うん……そうだよね」

 明日香の言う通りだ。もう絶対に間違いは犯せない。不安でも伝えなくては。

 重い気持ちで帰宅すると、医師が待っていた。

「お待たせしてしまい申し訳ありません」

「いえ、時間通りです。こちらが早く来すぎてしまいました。また目眩がしたと伺いましたが」

「はい。前回よりも酷くて、少し意識を失ってしまいました」

 美紅の私室の居間で、医師の問診を受ける。いくつか質問に答えてから、検査をすることになった。

 簡単な検査をして結果を見て、場合によっては病院まで行き、詳しい検査を受ける必要があるそうだ。

 けれど、医師は思いもしなかった結果を告げた。
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