望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「美紅さん、大丈夫ですか? 先生は問題ないと仰っていましたけど」

「うん。しばらくの間ゆっくりしなさいって」

 どうやら医師は妊娠については話さなかったらしい。

 デリケートな問題なので、気を遣ってくれているのだろう。

「……本当に病気じゃないんですよね?」

「大丈夫。本当に悪いところはなかったよ」

 美紅は申し訳ない気持ちになりながらも、妊娠については言わなかった。

 もちろん明日香のことは信用しているけれど、一番に史輝に伝えたい。

 けれどその前に、不倫疑惑について伝えなくてはならないが。

(史輝くんは信じてくれるのかな……)

 彼を信じているけれど、不安で電話をする勇気が出ない。

「美紅さん、史輝様に電話しますよね? 私は出ていますから終わったら呼んでください。今後について相談しましょう」

「あ……うん。ありがとう」

 美紅は明日香が出ていくと、溜息を吐いた。

 やはり電話をする勇気が出て来なかった。
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