望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「美紅さんに来てもらったのは、確認したいことがあるからだ。先ほど令華から驚くべき報告があった」

 やはり、百合華が起こした不倫騒動の件だ。

 令華はあたかも真実のように義父に話して聞かせたのだろう。その割には義父の態度が穏やかなのが気になるが。

「はい」

「他の人間がいないから言葉を濁さないで言うが、美紅さんが史輝以外の男性と付き合っている、いわゆる不倫をしているという報告があるそうだ。噂は一族間でも広がり、既になかったことにはできない状況にある。そこで君に問うが、この情報は真実かな?」

「いいえ。違います」

 美紅は義父を真っ直ぐ見つめて答えた。

 隣に座る令華の鋭い視線が突き刺さるのを感じるが、ここは怯んでいては駄目だと分かっている。

 何としても義父に信じて貰わなくては。

(史輝くんだって言っていた。私は間違ったことはしていないんだから、堂々としていいって)

 義父はしばらく美紅を見つめていたけれど、ふっと表情を和らげて頷いた。

「そうか。よく分かったよ」

 義父がどう受け止めたのかは分からないが、悪い方に向かうようには思えない。

(もしかしたら分かってもらえたのかな)

 令華たちと違い、義父は美紅に大した関心はないけれど、憎んでいる訳ではないはずだ。だからフラットに物事を見てくれるのかもしれない。

 義父が動かなかったら、令華だって美紅を攻めきれない。

 内心ほっとしていると、令華が身を乗り出し義父に向かって口を開いた。
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