望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「血の繋がりがないのは、私と君もだったはずだが?」

 令華がショックを受けたように息を呑む。

「……そんな風に思っていたのですか?」

「事実だ」

「だから美紅の味方をするのですか?」

 令華が震える声で言うと、義父が「いや」と首を横にふる。

「先ほども言ったが公平に調査する。もし美紅さんが不貞行為を働いているのだとしたら、必ず誰かの目に入っているはずだ。いくら気をつけても完全に隠れるのは無理だ。必ず証拠が見つかるよ」

 義父の声は淡々としているけれど、どこか不安を煽るものだった。

 令華の顔色は悪く、美紅も何も言葉を発せないほどの緊張を感じる。

(大丈夫。私は本当に不倫なんてしていないんだから、証拠なんて出るはずがない)

 そう自分に言い聞かせても、なぜか嫌な予感が消えることはなかった。
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