望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「俺に怒るなよ。美紅さんも気の毒だな。あの令華夫人と百合華さんに目を付けられてしまったから、次々と面倒事に巻き込まれて」
「必ず今回で終わらせる」
決意を込めて宣言した。
「……あの母娘には怒ってる訳ね」
宗吾が怯えたように、史輝から距離を置こうとする。
「帰国の便を早められないか、確認しておくよ」
「頼む」
「いいんだ。心配だよな。でもうちの妹の話だと、百合華さんに不倫を突きつけられて責められたとき、美紅さんはしっかり反論してたそうだぞ。側に付き添いの女性もいたみたいだから、百合華さんにやられて、ひとり泣きながら帰った感じじゃないみたいだ」
少し安心しただろ?と宗吾が続ける。
「付き添い? ……結城明日香のことか」
史輝が呟くと、宗吾がぴくりと反応した。
「結城って、あの結城か? 京極の分家だったけど、突然跡取りが失踪した」
「そうだ。明日香は結城家の親族だ。仕事に困っていたからうちで働いてもらっている。精神的に強く信用できる人間だから、美紅のサポートを頼んでいたんだ」
「知らなかった……結城家の人間がまだいたんだな」
宗吾が驚くのは無理もない。
元分家のひとつである結城家は、三十年近く前に跡を継ぐ者がいなくなり消滅してしまったのだから。
詳細を知っている者は僅かで、噂では自ら京極一族を出て行ったのだとも言われている。
そんな曰くつきの結城家の人間が本家で使用人をしているなんて、誰が聞いても驚くだろう。
「必ず今回で終わらせる」
決意を込めて宣言した。
「……あの母娘には怒ってる訳ね」
宗吾が怯えたように、史輝から距離を置こうとする。
「帰国の便を早められないか、確認しておくよ」
「頼む」
「いいんだ。心配だよな。でもうちの妹の話だと、百合華さんに不倫を突きつけられて責められたとき、美紅さんはしっかり反論してたそうだぞ。側に付き添いの女性もいたみたいだから、百合華さんにやられて、ひとり泣きながら帰った感じじゃないみたいだ」
少し安心しただろ?と宗吾が続ける。
「付き添い? ……結城明日香のことか」
史輝が呟くと、宗吾がぴくりと反応した。
「結城って、あの結城か? 京極の分家だったけど、突然跡取りが失踪した」
「そうだ。明日香は結城家の親族だ。仕事に困っていたからうちで働いてもらっている。精神的に強く信用できる人間だから、美紅のサポートを頼んでいたんだ」
「知らなかった……結城家の人間がまだいたんだな」
宗吾が驚くのは無理もない。
元分家のひとつである結城家は、三十年近く前に跡を継ぐ者がいなくなり消滅してしまったのだから。
詳細を知っている者は僅かで、噂では自ら京極一族を出て行ったのだとも言われている。
そんな曰くつきの結城家の人間が本家で使用人をしているなんて、誰が聞いても驚くだろう。