望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「美紅と意気投合したそうで、使用人と言うよりも友人関係だ」

「ふーん、いいのか?」

「ああ。美紅がそう望んでいるから」

 彼女が心を許せる人間が側にいるのは史輝としても嬉しい。尤も女性に限るが。

「そうか……まあ、プライベートなら誰と親しくしたって自由だからな」

「その通りだ。彼女には本家の使用人に令華に情報を送っている者がいないか探って貰っている。なかなか尻尾を出さないが、今回の件で動きがあるかもしれない」

「令華夫人のスパイってことだな? よし、俺は早く帰れるように帰国便の調整をしてくるよ。史輝は用意しておけよ」

「分かった」

 空いた時間でこなそうとしていた用件は、延期してもいいだろう。

 今は美紅が優先だ。

 史輝は急ぎ帰国の準備をはじめた。
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