望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
元々自己主張が苦手な美紅にとって、このプレッシャーの中で訴えるのは辛い。
(でも怖がらないで言わなくちゃ)
「お義父様。私の主張は初めから変わりません。私に後ろめたいことは何もありません。私は史輝さんの妻として恥ずかしいことは一切していません」
美紅が必死に訴え終わると、部屋がシンと静まり返った。
令華が苛立たし気に美紅を睨んでいる。
邪魔をするなと言いたいのだろう。
「両者の言い分は分かった。だが現状では美紅さんの発言には裏付けるものがない。一方で令華の言い分には証拠がある。そのため……」
義父が結論を下そうとしたそのとき、駆け足のような足音がしたと思ったら応接間のドアが大きく開いた。
「史輝?」
ドアに目を向けた義父が驚愕の表情になる。
「どうしてここに? イギリスに出張に行っていたのではないのか?」
「妻の不倫問題という馬鹿な騒動が起きていると聞いたので、急ぎ帰国したんですよ」
史輝はちらりと美紅に目を向けた。
(史輝くん……)
入室したときの彼は強張った顔をしていたけれど、美紅を見る眼差しは優しさがある。
(よかった)
安心して体から力が抜けていく。
(でも怖がらないで言わなくちゃ)
「お義父様。私の主張は初めから変わりません。私に後ろめたいことは何もありません。私は史輝さんの妻として恥ずかしいことは一切していません」
美紅が必死に訴え終わると、部屋がシンと静まり返った。
令華が苛立たし気に美紅を睨んでいる。
邪魔をするなと言いたいのだろう。
「両者の言い分は分かった。だが現状では美紅さんの発言には裏付けるものがない。一方で令華の言い分には証拠がある。そのため……」
義父が結論を下そうとしたそのとき、駆け足のような足音がしたと思ったら応接間のドアが大きく開いた。
「史輝?」
ドアに目を向けた義父が驚愕の表情になる。
「どうしてここに? イギリスに出張に行っていたのではないのか?」
「妻の不倫問題という馬鹿な騒動が起きていると聞いたので、急ぎ帰国したんですよ」
史輝はちらりと美紅に目を向けた。
(史輝くん……)
入室したときの彼は強張った顔をしていたけれど、美紅を見る眼差しは優しさがある。
(よかった)
安心して体から力が抜けていく。