望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「調査は公正ではなかった」
義父は不正と断言はしないものの、調査の無効を認めてくれた。
(よかった……でも史輝くんは一体何を見せたのだろう)
一目で疑惑が晴れるものなど思いつかない。
「下がって別室で待機しているように」
義父は調査員の男性に冷ややかな声で退出を促した。
これで室内には義父と令華と百合華。それから史輝と宗吾と美紅の六人になった。
「はあ……まさかここまでするとは」
義父が疲労の滲む息を吐いた。
「お兄様、そのファイルは何ですか?」
令華は我慢がならないというように身を乗り出しファイルに手を伸ばした。
義父は抵抗せずにファイルを令華に渡す。
「お母様、私にも見せて」
百合華が令華にぴたりとくっつき、一緒になってファイルを凝視する。
「……えっ? これって」
令華が青ざめ手にしていたファイルを落としてしまった。百合華が不思議そうに首を傾げた。
「この写真に写っているのはお母様ですよね? この人は誰ですか?」
美紅も身を乗り出して写真を見る。
一枚目はふたりの男女が深刻そうに話をしている場面だった。もう一枚には現金の受け渡しをしている様子が写っている。
ひとりは令華だが、もうひとりは美紅が見かけたことのない人物だ。
四十代半ばと思われる男性で、かなり身長が高い。他にはこれといった特徴がない人物だった。
「これは……」
令華が口ごもる。先ほどまでの威勢がすっかり損なわれており、明らかに動揺している。
義父は不正と断言はしないものの、調査の無効を認めてくれた。
(よかった……でも史輝くんは一体何を見せたのだろう)
一目で疑惑が晴れるものなど思いつかない。
「下がって別室で待機しているように」
義父は調査員の男性に冷ややかな声で退出を促した。
これで室内には義父と令華と百合華。それから史輝と宗吾と美紅の六人になった。
「はあ……まさかここまでするとは」
義父が疲労の滲む息を吐いた。
「お兄様、そのファイルは何ですか?」
令華は我慢がならないというように身を乗り出しファイルに手を伸ばした。
義父は抵抗せずにファイルを令華に渡す。
「お母様、私にも見せて」
百合華が令華にぴたりとくっつき、一緒になってファイルを凝視する。
「……えっ? これって」
令華が青ざめ手にしていたファイルを落としてしまった。百合華が不思議そうに首を傾げた。
「この写真に写っているのはお母様ですよね? この人は誰ですか?」
美紅も身を乗り出して写真を見る。
一枚目はふたりの男女が深刻そうに話をしている場面だった。もう一枚には現金の受け渡しをしている様子が写っている。
ひとりは令華だが、もうひとりは美紅が見かけたことのない人物だ。
四十代半ばと思われる男性で、かなり身長が高い。他にはこれといった特徴がない人物だった。
「これは……」
令華が口ごもる。先ほどまでの威勢がすっかり損なわれており、明らかに動揺している。