望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「令華さん、今のあなたには何を言っても無駄だ。だからこの場から出て行ってもらう」

「……は? 私を追い出す気?」

「そうだ。あなたはこれまで沢山の罪を犯している。法的な罪に問うことはできなくても、京極家として許す訳にはいかない」

 史輝が冷たい声で告げて宗吾に視線を送った。令華を連れて行けという合図なのだろう。

 続いて史輝が、ショックに固まる百合華に目を向けた。

「百合華。お前も母親と一緒に出て行ってもらう」

「え?」

「京極本家の使用人を買収して美紅の情報を流させていたことと、金に困った同僚を雇って美紅の名誉を傷つけたこと。どちらも調べがついている」

 史輝の鋭い言葉に、百合華は真っ青になった。

「そ、そんな……」

「既に関係者から話を聞いているから、口裏を合わせようとしても無駄だぞ」

「連れていけ」

 令華と百合華は抵抗しながらも、無理やり連れ出されていった。

 ドアの向こうでは、かなりの騒ぎになっているようだが、しばらくすると部屋に沈黙が訪れる。

「史輝。私は近い内に代表を辞任する。そして令華と共に何らかの方法で償いをして行きたいと思っている」

「父さん……」

「今まですまなかった」

 繋いだ史輝の手に力がこもる。

「それは美紅に言ってください」

「そうだな……美紅さん申し訳なかった」

「……すみません、今はまだ混乱していて、何と言えばいいのか分からないんです」

 沢山の感情が渦巻いて、頭が回らない。
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