望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「美紅……気分は悪くないか?」

 史輝がとても気遣わし気に尋ねてくる。

「うん、なんとか……あの、私史輝くんに伝えたいことが……こんな時だけれど、早く話した方がいいと思って」

「何かあったのか?」

 史輝が心配そうに美紅を見つめる。

「この前貧血で倒れたとき、お医者様に診てもらったでしょう?」

「ああ……もしかして何か問題が?」

 史輝がさっと顔色を変えた。

「問題じゃないんだけど……私、妊娠したの」

「……え?」

 驚きのあまりかぴたりと動きを止めてしまった彼に、美紅はもう一度告げる。

「ここに私たちの赤ちゃんがいるんだよ」

 美紅の言葉につられるように、史輝の視線が下がる。

「俺たちの子供が……」

「うん。私たち、お父さんとお母さんになるんだよ」

 美紅が微笑みながら頷くと、史輝も顔を綻ばせる。それからそっと美紅のお腹に手を添えた。
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