望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「まだ少しも膨らんでないな」

「まだまだ先だと思うよ……自分が親になるなんて信じられないし、自信はないけど、子供を幸せにしてあげられるように頑張りたいな」

「ああ。俺も頑張るよ。美紅と子供を守れるようにもっと強くなる」

「史輝くん、ありがとう。でも無理はしないでね」

 史輝の肩にもたれ掛かる。そうすると、だんだん落ち着いてくる。

「愛する妻子のためなら無理をしたくなる。少しでもいい暮らしをさせてやりたい。望みを叶えてやりたい」

「……それならひとつだけ約束して?」

「ああ、もちろん」

 史輝が美紅をそっと抱き寄せる。

「これからずっと、何年先も私たちと一緒に生きて欲しい」

 美紅もきっと生まれてくる子供も、それだけで幸せなのだから。

「……ああ、絶対だ。約束するよ」

 史輝の腕に包まれて美紅は幸福を感じていた。

 収まっていた涙がまた溢れ出す。

 本当に情緒不安定だ。

 それでも今は好きなだけ泣こう。

 ここは素直になれる場所なのだから。

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