望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
エピローグ
 美紅が両親の過去を知った日から、一カ月が過ぎた。

 十二月に入り、寒さが増してきたものの平穏な日々を過ごしている。

 ただここに来るまでには様々なことがあった。

 一番は義父が引退を決意し、本家と分家のトップが集う会合で正式に発表したことだ。

 まだ五十代後半と若いため、ほとんどの人に引き留められていたが、史輝に言った、自分は代表として失格だという決意は変わらないようだった。

 一年の引継ぎを経て、史輝が跡を継ぐことに決定した。

 正式な跡継ぎとはいえ、まだ年若い史輝に不安を感じる人も多いそうで、認められるのはなかなか大変だと、史輝は懸命に頑張っている。

 美紅も彼を支えられるように、自分にできることをしているが、妊娠中の今、無理は厳禁とあまり外に出しては貰えない。


 そして笛吹家は次回の株主総会で、京極建設の社長の任を解かれることになった。

 令華たちの問題だけではなく、会社を率いる能力がないと判断されたうえに、横領の疑いすらあるのだとか。おそらく笛吹家は没落していくのだろう。

 母の生家だから、美紅としては複雑な気持ちはあるけれど、仕方がないことだと思っている。

 令華と百合華は今後義父が監視していくそうだが、京極グループ内の権限を与えず、財産を没収し、これ以上勝手な行動ができないようにするとのこと。

 それを聞いたとき、美紅は令華はともかく百合華に対しては厳しい処罰だと感じた。しかし史輝が調べたところ、彼女もかなり卑怯な真似をしていたそうだ。

 美紅に不倫の濡れ衣を着せようとしたのは百合華の発案で、経済的に困窮していた同僚を買収したらしい。
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