望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
 あの日、笛吹家に里帰りした美紅を薬で眠らせて、疑惑になった写真を撮る計画だったそうだ。美紅が倒れたのが想定外だったが、結果として百合華の思い通りになったのだ。

 あの頃既に妊娠していたから、睡眠薬なんて飲まされたら大変なことになるところだった。

 無事だったとはいえ、百合華の行いは酷いものだ。

 義父が決めた処罰は妥当だと、考えが変わった。

 令華と百合華が、監視され慎ましい生活を送ることができるとは思えないが、かと言って京極一族から離れて自立していくのも無理だろう。

 更生したと認められるまで、飼い殺しのような日々が続くのに耐えるしかない。

 亡くなった父と母のことを思うと、令華に対してはそれでも甘い罰だと感じるときもあるが、美紅はこれで忘れることにした。
 母が恨みを忘れたいと願った通り、美紅も暗い気持ちを持つより前向きに生きていきたい。

 子供が生まれるときに晴れやかな想いで迎えてあげたい、そう思ったからだ。
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