望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「美紅、準備はできたか?」

 美紅の私室に史輝がやって来た。

 仕事が忙しい彼は、最近はまともに休日を取れておらず、今日は一月ぶりの連休だった。まだ疲れは見えるものの、楽しそうな笑みを浮かべている。

「うん。ちょうど今終わったところ」

 美紅も久しぶりに夫と過ごせるのが嬉しくて、朝から張り切って支度をしていた。

「美紅さん、マフラーもしていった方がいいですよ」

 明日香が淡いブルーのマフラーを持って来てくれた。

「ありがとう。明日香さんは用意ができたの?」

「ええ。とっくに終わってますよ」

「よかった。それじゃあ行きましょう」

 今日は、亡くなった美紅の父親の墓参りに向かう。

 明日香も同行するのは、彼女が父親と同じ結城家の出身で、美紅とは再従姉妹の関係だと発覚したからだ。

 お互い何も知らなかったから、とても驚いたけれど、明日香とそんな繋がりがあったことが嬉しかった。

 親族だと分かってからも、明日香は仕事を続けると決めて、今でも美紅を助けてくれている。

 生まれて来る子の面倒を一緒に見てくれるそうだ。
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