望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
二章 初夜


七月七日。しとしとと降る雨の日に、史輝と美紅の結婚披露が行われた。

笛吹家を出てから、たった一週間後のことだった。

一族への披露のため、本家の多目的ホールを会場とした。上座に史輝父である現京極グループ総裁が着き、その隣に史輝と美紅が並んで座る。

招待客たちは一族内の序列に従い、地位が高い者ほど上座に着いた。

美紅が京極一族の集まりに出るのは初めてのことだ。

まるで中世貴族の晩餐会のようだと、その光景に圧倒された。

「皆も既に聞き及んでいると思うが、史輝と笛吹家の美紅が夫婦になった。このふたりが次代の京極グループを率いていくことになる。皆さんにも助力願いたい。一族が結束してますますの発展を遂げることをここに願おう」

史輝の父、美紅にとっての義父が高らかに宣言すると、談笑の時間になった。

祝いの席の食事は、フレンチのコース料理で、出来立ての料理が順にそれぞれのテーブルに配膳される。

皆とても慣れた洗練された所作で、ナイフとフォークを扱っているが、美紅だけが体を固くしていた。
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