望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
史輝が宛がってくれた教師の元でマナー教育を学んだものの、緊張した中で練習した通りとはいかない。
あちこちからの視線を感じるのも、手先が震えてしまう原因だ。
すぐ隣に史輝がいるからか、あからさまに睨まれたりはしないものの、よく思われていないのは伝わるものだ。
プレッシャーの中、美しく飾りつけらえた前菜にそっとナイフを入れたつもりが、かしゃんと音を立ててしまうという失敗を犯してしまった。
一度ミスをすると一気に自信がなくなり、何をしていても不安が付きまとう。
情けない美紅を見て、周りの人々は笑っているのではないか。
そんなふうにどんどん悪い方向に考えが向かう。
ふと強い視線を感じて視線を向けると、令華と百合華が美紅を凝視していて、その視線の鋭さに血の気が引いた。
すぐに文句を言ってくる様子はないが、明らかに美紅に対して怒っている。
素晴らしい料理のはずなのに、味なんてまるで分からなかった。