望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~

史輝が宛がってくれた教師の元でマナー教育を学んだものの、緊張した中で練習した通りとはいかない。

あちこちからの視線を感じるのも、手先が震えてしまう原因だ。

すぐ隣に史輝がいるからか、あからさまに睨まれたりはしないものの、よく思われていないのは伝わるものだ。

プレッシャーの中、美しく飾りつけらえた前菜にそっとナイフを入れたつもりが、かしゃんと音を立ててしまうという失敗を犯してしまった。

一度ミスをすると一気に自信がなくなり、何をしていても不安が付きまとう。

情けない美紅を見て、周りの人々は笑っているのではないか。

そんなふうにどんどん悪い方向に考えが向かう。

ふと強い視線を感じて視線を向けると、令華と百合華が美紅を凝視していて、その視線の鋭さに血の気が引いた。

すぐに文句を言ってくる様子はないが、明らかに美紅に対して怒っている。

素晴らしい料理のはずなのに、味なんてまるで分からなかった。

< 53 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop