望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚～財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない～

少なくとも攻撃をしてくるのなら、人目がないところだろうと。

（考えが甘すぎたのかな……）

胸が痛くて俯くと、更に厳しい声が降りてくる。

「そうやってすぐに被害者ぶるの態度はとても不快だわ」

「わ、私はそんなつもりでは……」

「前から思っていたけど、あなたってすぐに口ごもるわね。まともに話せないの？」

誤解を解こうとしても、先に言葉が被せられてしまい。美紅の気持を伝えることができない。

「これで総帥夫人になろうとしているだなんて、信じられないわね」

美紅を責めるのは令華だけではなかった。今日はじめて顔を合わせた人までもが冷たい目をし、ときには心無い言葉を投げつけてくる。

心細さのあまり、無意識にワンピースのスカートをぎゅっと握りしめてしまった。

美しい布にシワが寄る様を見ると、ますます落ち込む。

（今日の為に史輝くんが用意してくれた服が……）

彼に相応しくあるために努力しようと決心したばかりなのに、実際は責められて何も言えず、交流の輪から外されて、みじめに隅にいるしかないなんて。

シワがよったスカートのようにみっともない自分。