望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚～財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない～

あまりに情けなくて、悲しくなる。涙を溢さないように耐えることしかできなかった。

その後、勇気を振り絞って何度か声をかけたけれど、誰も答えてはくれなかった。

皆、その場に美紅が存在しないかのように無視をする。

きっと示し合わせた行動なのだろう。

そのような態度をする理由は、先程令華が宣言した通り、美紅を本家の花嫁と認めない意思表示だ。

一時間程して史輝が迎えに来たことで女性だけの交流会が終わったが、美紅はすっかり自信を失ってしまっていた。

（やっぱり私なんかが史輝さんと結婚するのはよくないんじゃ……）

「美紅」

令華たちと言葉を交わしていた史輝が、会話に参加できないまま立ち尽くしていた美紅の腰を抱き寄せた。

「史輝くん？」

今までにない距離の近さに驚き咄嗟に離れようとしたが、彼の腕の力が強く身動きが取れない。そんな美紅にちらりと目をやってから、史輝は令華たちに向かって口を開く。

「私たちはこれで失礼します」

「あら、まだいいじゃない。皆、史輝さんのお祝いに駆けつけているのよ？」

百合華が駆け寄って来て、史輝の手を取ろうとしたが、彼はそれをやんわりと防ぐ。