望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
「俺たちの結婚を祝ってくれてありがとう。百合華はゆっくり楽しんで行ってくれ」

史輝が“俺たち”と強調したような気がした。それは百合華も感じたのか、彼女の顔が口惜しそうに歪む。同時に美紅をぎろりと敵を見るような目で睨んできた。

今に始まったことではないけれど、改めて敵意を突き付けられた。決して認めないと言われているのだと実感した。

「行こう」

史輝に促されて、談話室を出る。

これから私室に戻ったら入浴と体の手入れを済ませて史輝が訪れるのを待つ予定になっている。

「ではあとで」

「……はい」

私室には川田が待機していて、美紅を出迎えてくれた。

「美紅様、お疲れとは思いますが、すぐに用意いたしましょう。まずは入浴を」

「……私が先にお風呂を使っていいんですか?」

「はい。史輝様は部屋のシャワーをお使いになるので、大丈夫ですよ。さ、用意が出来ていますので参りましょう」
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