望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
史輝と美紅の部屋がある東館のバスルームは、美しく高級感溢れる天然大理石で造られている。とても広くめおそらく十畳以上ありそうだ。初めて案内されたとき、まるで高級ホテルのようだと驚いた。

「お疲れでしょう。ゆっくり浸かって、体を温めてくださいね」

「ありがとうございます」

体を洗ってから湯舟に浸かる。温かくてとても気持ちがいい。それなのに心は晴れない。

どうしても令華と百合華たちからぶつけられた言葉が頭から消えてくれないのだ。

これから史輝との初夜を迎えるというのに。

(こんな気持ちで上手くいくのかな)

史輝の妻になる喜びよりも、不安が優ってしまっていて、気持ちの切り替えがなかなかできないまま時間が過ぎていく。

入浴を終えてから、新しい下着を身に着けガウンを羽織る。肌と髪の手入れを済ませて、部屋に戻ると、ひと息つく間もなく史輝がやって来た。

美紅とお揃いのガウン姿を見て、一気に緊張が高まった。

これから彼と肌を重ねるのだ。

ドクンドクンと心臓が脈うち、頭がクラクラする。

史輝に促されて寝室に向かう。言われるがままに並んでベッドに腰を下ろした。

「緊張しているな」
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