望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
高校までは進学させて貰ったが、その後は二十四歳の現在までずっと笛吹家の家事手伝いとして働きながら、これまでかかった学費と生活費を返している。
本当は高校卒業後に独立したかったが、借りたお金を返すまで、外で働くことは許されなかった。
今の美紅の立場は、ほぼ無給で働く使用人といったところ。
そんな美紅が、次期当主の花嫁に選ばれるなど、誰も予想していなかった。
ところが六月最終日の今日になって、突然本家から美紅が京極史輝の結婚相手に決定したと知らせがきた。
伯父はすぐに美紅を自分の書斎に呼び出して、驚愕の事実を伝えたのだった。
「お前が次期総帥夫人だなんて、一体どういうことなんだ?」
執務机に肘を突いて頭をかかえる伯父の態度は、明らかに今の状況を厄介に感じているものだ。
「まさか、自ら史輝君に頼み込んだ訳じゃないよな?」
伯父がギロリと美紅を睨む。
「い、いえ、そんなことはしていません……史輝さんとは幼い頃に会ったきりですから」
美紅は慌てて首を横に振った。
「……たしかに、お前なんかが史輝君に近付けるわけないか」
伯父は少し冷静になったのか、納得したように頷いた。
本当は高校卒業後に独立したかったが、借りたお金を返すまで、外で働くことは許されなかった。
今の美紅の立場は、ほぼ無給で働く使用人といったところ。
そんな美紅が、次期当主の花嫁に選ばれるなど、誰も予想していなかった。
ところが六月最終日の今日になって、突然本家から美紅が京極史輝の結婚相手に決定したと知らせがきた。
伯父はすぐに美紅を自分の書斎に呼び出して、驚愕の事実を伝えたのだった。
「お前が次期総帥夫人だなんて、一体どういうことなんだ?」
執務机に肘を突いて頭をかかえる伯父の態度は、明らかに今の状況を厄介に感じているものだ。
「まさか、自ら史輝君に頼み込んだ訳じゃないよな?」
伯父がギロリと美紅を睨む。
「い、いえ、そんなことはしていません……史輝さんとは幼い頃に会ったきりですから」
美紅は慌てて首を横に振った。
「……たしかに、お前なんかが史輝君に近付けるわけないか」
伯父は少し冷静になったのか、納得したように頷いた。