望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
史輝と同じ考えを持つ者は他にもいて、ひとつのグループを形成している。宗吾もリーダーのひとりとして、日々改革を成し遂げようと励んでいる。

とは言え、一族内には令華のような考えの人間の方が多く、なかなか実現するのが難しいのだけれど。

そのような状況の中での美紅との結婚は、笛吹家が更に権力を持つことになる、史輝の望む未来とは真反対の選択だった。

「母君の遺言で、美紅さんを守るために結婚したのは分かってる。彼女の酷かった境遇を調べたのは俺だから、助けの手を差し伸べることは正しいと思うよ。でも史輝が結婚する必要はなかっただろう? なにか理由をつけてあの家から出して経済援助だけする方法だってあったはずだ」

「笛吹家は美紅を簡単に手放さない。結婚以外に方法がなかった」

笛吹家というよりも令華が美紅に執着していた。

美紅を蔑ろにして虐げながらも、家から出そうとはせず、むしろ囲い込んでいた。

笛吹家に引き取ったあと、京極グループの子女が通う私立校に通わせてはいたが、大学進学は許さず使用人として働かせていた。
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