望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
立場上、史輝との付き合いを望む女性は多かったから、期待させないようにはっきり断っただけで酷い言葉は発していない。

女嫌いについては、それこそ周りが勝手に誤解していただけだ。

「でも突然荒み始めてからは、女には関心が無さそうにしていたじゃないか。分家の令嬢との交流でもずっと冷めた態度だったし……」

宗吾はそこまで言うと、何かに気付いたようなはっとした表情になった。

「まさかその頃から美紅さんに目を付けてたとか?」

恐る恐るといった様子で、問いかけられる。

史輝は思わず溜息を零した。

「目をつけてたって言い方は止めてくれ」

「否定しない! ってことはやっぱり好きだったんじゃないか! 彼女をずっと想いながら準備を進めて捕獲したってことか?」

「それは……」

史輝は言いかけた口を閉ざした。そうだとも違うとも言えるからだ。

美紅に対する想いは、簡単に言い表せるようなものではない。

初めて出会ったのはお互い子供の頃だったが、美紅は体が小さかったこともあり五才という年齢差以上に幼く感じた。
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