望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
史輝の父は、令華を受け入れず本家から追放する形になったことに負い目を感じているようだ。自分が養子であることも、その気持ちに拍車をかける要因だろう。

余程のことがない限り、令華の行動に口出しをしない。

美紅が辛い思いをしているのを知ったとしても、介入しようとはしないはずだ。

逆に令華に泣きつかれたら、味方をする可能性もあるから当てにはできない。むしろ最大の障害ともいえる。

史輝らグループ内の味方を増やしながら慎重に機会を伺い、やっと美紅を笛吹家から解放することが出来たのだが――。

「史輝、聞いてるのか?」

黙ったままの史輝に、宗吾がじれたように返事を急かす。

「聞いてる」

「だったら答えろ。美紅さんと結婚したのは、個人的な感情でか?」

「そうだ」

「……嘘だろ」

宗吾がはあと溜息を吐いた。

「まあ……史輝が好きで結婚したなら笛吹家の関係者でも仕方ないな。むしろお前がまさかの恋愛結婚で幸せになれそうでよかったよ」

「ああ」

なんだかんだ言いながら友人としての立場で祝福してくれる宗吾に、史輝は表情を和らげた。

「新婚なら家庭サービスしないとな。早く仕事を終わらせよう」
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