望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
再会したときも、本家に移ってきた挨拶のときも、彼女は史輝を警戒している様子だった。

美紅にとっては突然結婚すると言われたのだから無理ないが、幼馴染であったことすら忘れてしまったような態度に落胆し、史輝様と呼ばれたときは酷くショックを受けた。

結婚披露の後、彼女を抱こうとしたとき。

史輝は幸せを感じていたけれど、彼女は違った。

拒否はされなかったが怯えていた。

それは美紅が史輝を信用していないことの現れた。

しかしこれまで彼女に手を差し伸べられなかったのだから仕方がない。

気持ちが昂り、すぐに抱こうとした自分の浅はかさを後悔した。

美紅の決心がつくまで待とう。

時間はかかるだろうが、昔のように心を許せる関係になれたら。そして。

(美紅を幸せにしたい)

それが今の史輝の一番の願いだった。
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