望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
車が止まったのは、品川駅近くにある乗船場だった。
戸惑ったが、史輝が車に近付く姿が見えたので安心して降りる。
濃紺のスーツ姿の彼は、いかにもできるビジネスマンといった風貌で、見惚れそうになる。
史輝が美紅の目の前で立ち止まった。
「お疲れさまです」
夫にかける言葉にしては素っ気ないだろうか。
でも、他になんて言えばいいか分からない。
「お待たせしてしまい、ごめんなさい」
「いや美紅は時間通りだ」
史輝はそう言うと、美紅の手を掴み歩き出す。
(いきなり手を繋ぐなんて……)
彼がそんな態度をとるとは思わなかったから、驚いた。
再会したときも、同居してからも、彼は夫婦関係をよくしようという気持ちがあまりないように見えていたのに。
しばらくすると、船着き場に船が止まっているのが見えた。
「……もしかして屋形船に乗るんですか?」
驚きの声を上げる美紅に、史輝が頷いた。
「ああ……もしかして船は苦手か?」
失敗したと思ったのだろうか、史輝が困ったように眉を下げる。
「い、いえっ! そんなことはないんですけど、予想外だったので」
多分高級レストランでの食事になるだろうと、明日香と話していたから。
戸惑ったが、史輝が車に近付く姿が見えたので安心して降りる。
濃紺のスーツ姿の彼は、いかにもできるビジネスマンといった風貌で、見惚れそうになる。
史輝が美紅の目の前で立ち止まった。
「お疲れさまです」
夫にかける言葉にしては素っ気ないだろうか。
でも、他になんて言えばいいか分からない。
「お待たせしてしまい、ごめんなさい」
「いや美紅は時間通りだ」
史輝はそう言うと、美紅の手を掴み歩き出す。
(いきなり手を繋ぐなんて……)
彼がそんな態度をとるとは思わなかったから、驚いた。
再会したときも、同居してからも、彼は夫婦関係をよくしようという気持ちがあまりないように見えていたのに。
しばらくすると、船着き場に船が止まっているのが見えた。
「……もしかして屋形船に乗るんですか?」
驚きの声を上げる美紅に、史輝が頷いた。
「ああ……もしかして船は苦手か?」
失敗したと思ったのだろうか、史輝が困ったように眉を下げる。
「い、いえっ! そんなことはないんですけど、予想外だったので」
多分高級レストランでの食事になるだろうと、明日香と話していたから。