望まれない花嫁に愛満ちる初恋婚~財閥御曹司は想い続けた令嬢をもう離さない~
史輝は女性をエスコートすることに慣れているのだろうが、美紅はこんな風に大切に扱って貰うなんて初めてだ。しかも相手が史輝だから、ただ乗船するだけなのに心臓がドキドキ乱れて落ち着かなくなった。
「お待ちしておりました」
船に乗るとすぐに四十歳くらいの女性に出迎えられた。和服姿で髪の毛はきっちり纏めていて清潔感がある。この船のスタッフだろうか。
スタッフの女性が先に立ち扉を開いた。
「……え?」
その先に広がる光景があまりに想像していたものとは違っていたため、美紅は思わず声を上げてしまった。
畳敷きの広間だと思っていた部屋は、畳ではなくダークな色味のフローリングだった。手入れが行き届いているのかどこもかしこも艶やかだ。
温かな色味の照明が琥珀色の壁を照らしている。中央には見るからに高価そうな黒壇のテーブルと椅子が置かれている。
「お席にどうぞ」
スタッフの女性が引いてくれた椅子に、美紅はまだ茫然としたまま腰を下ろした。
正面の席には史輝が優雅に座っている。
ふと視線を巡らすと、窓の外には日没前の朱色の空が広がっていた。
席に座ったまま風景を臨めるようになっているようだ。
「お待ちしておりました」
船に乗るとすぐに四十歳くらいの女性に出迎えられた。和服姿で髪の毛はきっちり纏めていて清潔感がある。この船のスタッフだろうか。
スタッフの女性が先に立ち扉を開いた。
「……え?」
その先に広がる光景があまりに想像していたものとは違っていたため、美紅は思わず声を上げてしまった。
畳敷きの広間だと思っていた部屋は、畳ではなくダークな色味のフローリングだった。手入れが行き届いているのかどこもかしこも艶やかだ。
温かな色味の照明が琥珀色の壁を照らしている。中央には見るからに高価そうな黒壇のテーブルと椅子が置かれている。
「お席にどうぞ」
スタッフの女性が引いてくれた椅子に、美紅はまだ茫然としたまま腰を下ろした。
正面の席には史輝が優雅に座っている。
ふと視線を巡らすと、窓の外には日没前の朱色の空が広がっていた。
席に座ったまま風景を臨めるようになっているようだ。