ねぇ、嘘じゃないよ

告白と思い出





プルル、プルルルル…。



反射的に出るボタンを押す。

「もしもし、ゆうです」

「あぁ、ゆうちゃん。なぁ、言いたいことがある。何も言わないで聞いてくれ。」


あっ、先輩だ。

「どうしたんですか、せんぱーー」
先輩、そう言おうとした、そのとき。



「好きだ」




へ?

「…愁夜のことも考えたんだが…やっぱり言いたくてな。今すぐにとは言わないけれど、返事、聞かせてほしい」

どきどきと高鳴る鼓動の音しか聞こえない(はざま)に、先輩の背後から何か声が聞こえたかと思うと、焦った様子で先輩は電話を切った。


「話さないといけないものとか、質問とかいっぱいあるだろうが…今は行かないといけない。すまない」




ぴー、ぴー、ぴー…。




は、?




ぴこりん。
メールが届く。

『言っておくが、めちゃくちゃ真剣だ。ウソ告なんかじゃない』




はぁ、?


「す、すみません!急遽行かなくてはならなくて…またお会いできたら、会いましょう!」

走って愁夜を探す。

愁夜、どこ?
どこにいるの?


人混みを通り抜けると、ドンっと誰かにぶつかった。

「すみませ、」



あぁなんで、近くに愁夜はいるのに。
なんで、見つからないの?



「ゆう?」
頭上から声がした。私が探してた人の。


「帰ろう!」


愁夜の手を引いて走る。

「すみませんっ、また今度にしましょう!急遽行かなくてはならないので!」


駅に走ってちょうど来た電車に飛び込む。

はぁ、はぁ。

息切れがする。




「急にどうしたの、ゆう」

あのね。

あのね、愁夜。

拗ねないで聞いてね。


「工藤先輩に告白された」




「…は?」
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