ねぇ、嘘じゃないよ
仕方ないから駅の近くの公園に入る。

ブランコに二人乗って、しばらくゆらゆら、ゆらゆらとゆすられた。



「先輩は、本気ですか?」

ぽつりと呟いてしまって、ハッとする。

「すみませ、」
「好きだよ」



…好き。

その言葉は、いまだに怖い。



「ゆうちゃんのこと、最初は、花凛と重ねてた。強がってるのに涙脆いとこも、笑顔がふわぁってなるとこも、そっくりで。もしかして、花凛と関係があるんじゃないかと、疑ったほど」

「でも、次第と花凛ではない魅力も見つかって。気づいたら、一人の女の子として、好きになっていた」

「愁夜くんのことは知ってる。告白が怖いのも知っている。でも…どうしても…」

いつもはハキハキとしていて力強い先輩の優しい声。
今は…消え入りそうな。
そんな声だ。


「先輩は、優しいですし、私のことよく考えてくれるし、返しきれない恩があります。付き合ったら、幸せになれるだろうなって思います。でも私は誰かと付き合う勇気も時間もあるかどうかわからない…中途半端な答えを出したくない。なので、長い間になってしまうかもしれないんですが…考えさせて、ください」

優しく先輩は頷いてくれた。


「もちろんだよ。困らせてしまってごめんね」

「いえ、こちらこそ…。これからも、お話ししていいですか?」

「そうしてくれるとうれしい。それじゃあ、もう遅いし…送っていくね」

「いえいえ、!一人で帰れますので…」

「女の子を夜中に一人で帰らせるわけにも行かないから。ね?」

「それではお言葉に甘えて…」
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