ねぇ、嘘じゃないよ
幼馴染
私の幼馴染
「あ、愁夜」
遠くから向かってくる幼馴染に私、村乃ゆうは微笑んだ。
「ゆう、お前相変わらず早いなー!」
いつもの太陽の笑顔がなんだかおかしくて、思わず吹き出す。
「愁夜が遅いだけでーす。ほんと、いい加減にしてよね!こっちも学校遅れるんですけど!」
嫌味ったらしい言い方。
そんな言い方でも、にやって愁夜がするから、嫌な予感がしたと思ったら、頭をぐしゃぐしゃにされる。
負けてられるかと、私もぐしゃぐしゃにし返す。
見ての通り、私たちはすごくの良い幼馴染。
生意気な発言も、へっちゃら。
それは、きっとずっと一緒にいたから。
春も夏も秋も冬も、朝も昼も夕方も。
気づいたら、一緒にいて、気づいたら言い合ってた。
気づいたら、笑ってた。
そんな、大切な人なんだ。
でも、そんな愁也のこと、きっと。
なんて一瞬、バカなこと考えてしまうから、ふるふると頭をふると、私の幼馴染はきょとんとした顔。
無視して無人の駅に入ったら、むすっとするその人。
べーだと下を出してふわぁとあくびをしてると、電車が目の前に走って止まった。
通学カバンをぎゅっと握りしめて、これからの騒音に気を引き締める。
「きゃーっ!!みて!!」
2人で電車に乗ると、安定の叫び声。
「ユウとシュウだよ!」
ユウとシュウ。
それは、私たちの芸名。
なにを隠そうと、私と愁也はモデルであり女優/俳優。
なんにせよ、顔面の保証だけなら私たちはある。
無駄に顔がいい両親をお互い持っているのだ。