ねぇ、嘘じゃないよ
たまに優しく、髪をブラシでとかしてくれる愁夜。昔からやらせてるからか、よくわかっていらっしゃる。

途中で髪とかさないとなんか濡れたままなんだよなぁ。


ていうか…んぅー…ねむい…。

「ほらっ、起きろ。おわったぞ」

数分うとうとしてると、とんとんと優しく肩を叩かれた。

「ふぁぁい…」

どかずに寝そうになると、愁夜がこてんと頭を叩く。

「ほら、俺風呂入るから、最初に勉強始めてな。宿題せずに学校行くわけにもいかないだろ」

「はぁい…」

ひょいっと起き上がると、ノコノコと鞄を掴んで、勉強を始める。



カキカキカキ。

シャーペンの音が響く部屋で、愁夜を待つ。


「ゆうちゃん頑張ってるわねぇ」

うとうとしながら古文のワークをやっていると、ひょいっと美恵さんが部屋に入って覗き込んでくるものだから、「美恵さん!」とびっくりしてしまった。


「ケーキ、食べない?夜遅くだけれど、いつも頑張っているから、ちょっとくらいならいいかなって…」

ケーキが三つと、紅茶のカップが三つ、ポットが一つ。


「愁夜も、着替えているからもうすぐ来るわよ」


ケーキ…!

ケーキが大好きだけど普段我慢してる私にとっては夜中のケーキなんて贅沢すぎる。


「たべるっ…!」


でもケーキの誘惑に勝てるわけもなく食べるとしか言える訳ない。
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